幽霊姫は止まれない!

(こんなに簡単なことだったんだわ)

 私が一歩、勇気を出せばそれでよかったのだ。疑心暗鬼になり、自分は嫌われているのだと思い込むことが一番の過ちだったのだ。



「相手の気持ちを勝手に決めつけるなんて、本当に傲慢……」

 兄の婚約騒動や聖女事件の時に私は何を学んだのか。あれほど話し合うことが大事だと知ったくせに、こんなに昔から同じ過ちを犯していただなんてと苦笑する。



 もしかしたらオスキャルとだって、話し合えばこんなに一方的に切り捨てることをしなくてもよかったのかもしれない。

 そんな考えが浮かんでは消える。



「エヴァ?」

 無言で物思いに耽る私を心配したのだろう。

 相変わらず正統派の王子様で、いつもは余裕綽々な顔をいつも浮かべているサイラスが、眉尻を下げて顔を覗き込んできた。



 その表情に、小さく首を振る。



(ううん、ダメね。だって未練が残るもの)

 私が今向き合わなくてはいけないのは過去ではなく、未来だ。