幽霊姫は止まれない!

 わがままに、傲慢に振る舞ってきた私だが、結局睨まれるだけで何も言えなくなってしまうのだ。
 そんな王女なんて、邪魔なだけ。外に出て失態を晒すくらいなら、噂通りに引きこもり誰にも会わない方が、国のなめになる。

(やっぱりこの夜会を選んだことは間違っていたのかも)
 最初からノルベルト公爵が私のことをよく思っていないなんて知っていた。人殺しだと、姉を返せと罵倒されることだって覚悟していた――はずなのに。

(全然覚悟なんて、できてなかったんだわ……)
 サイラスの背に隠れ、震えて何も言えない情けない自分を目の当たりにし、視界が滲む。
 ここで泣くのはあまりにも卑怯だと思っているのに、目頭が熱く鼻の奥がツンと痛んだ。

「言い返しもできない。そんな状態なら、ひとりでいる方がいいでしょう。サイラス殿下のためにはならないですよ、他の姪はいかがですか」
 私には何も期待していないと言わんばかりの言い回しにズキリと胸が強く痛む。

(お姉様たちのことは、姪と呼ぶのね)
 私のことは『お前』だったのに、と口の中に苦いものが広がった。私は母の娘とすら認められていないということなのだろう。