会場のホールから飛び出し、手を繋いだまま進む。廊下を進み、階段も駆け上った私たちは少し息を切らしながら、人のいない公爵邸をきょろきょろと見渡していた。
「うーん、こっちの方だと思ったんだけど……」
「私のせいでごめんなさい」
申し訳なさそうに公爵を探し続けるサイラスに頭を下げると、ポンッと頭に彼の大きな手が乗せられた。その手のひらから伝わる温もりが心地よくて、心がほわりと安らぐ。
「謝るのは俺の方でしょ。格好つけて飛び出したのに、このザマだ。まぁ、誰かに咎められたらしれっと『迷いました』って言えば俺たちを捕まえることなんてできないから安心してよ」
「ふふ、そうですね」
許可なく邸宅の奥まで入り込むのはマナー違反。それどころか、何かしらのやましいことを疑われ場合によっては会場から追い出されたり、逆に尋問されたりなんてこともあるだろうが、私と彼はこれでも王族。しかも、はじめて来た場所なのだ。
彼の言った言い訳は十分認められるだろう。
「――、どうして、ついてきてくれたんですか?」
ぽつりと呟くようにそう問うと、少し迷ったように、そして困ったような表情になる。
「それは……」
「うーん、こっちの方だと思ったんだけど……」
「私のせいでごめんなさい」
申し訳なさそうに公爵を探し続けるサイラスに頭を下げると、ポンッと頭に彼の大きな手が乗せられた。その手のひらから伝わる温もりが心地よくて、心がほわりと安らぐ。
「謝るのは俺の方でしょ。格好つけて飛び出したのに、このザマだ。まぁ、誰かに咎められたらしれっと『迷いました』って言えば俺たちを捕まえることなんてできないから安心してよ」
「ふふ、そうですね」
許可なく邸宅の奥まで入り込むのはマナー違反。それどころか、何かしらのやましいことを疑われ場合によっては会場から追い出されたり、逆に尋問されたりなんてこともあるだろうが、私と彼はこれでも王族。しかも、はじめて来た場所なのだ。
彼の言った言い訳は十分認められるだろう。
「――、どうして、ついてきてくれたんですか?」
ぽつりと呟くようにそう問うと、少し迷ったように、そして困ったような表情になる。
「それは……」

