「流石にそんなことできませんよ」
「俺も招待状貰ってるから大丈夫だけどね。どうとでも言えるし」
「いいえ、甘えてはいられませんのに」
「甘えてもいいのに?」
「いやいやいや! 流石に甘えられませんよ!? これがオルコットならともかく、リンディ国です、私の国ですから」
彼の提案に愕然としながら首を振ると、彼が少し残念そうに眉尻を下げる。
だが、当然甘えるわけにはいかない。ここは私の国で、今日は公爵からの招待でもてなされる側ではあるが、国単位で考えればリンディ国の王女である私が、オルコット国の王子であるサイラスをもてなさなければならないのだ。
(それを、挨拶まで任せるなんてできないわよ)
ふんす、と鼻息荒く、公爵夫妻へと視線を向ける。
今日の主催であるふたりは招待客に囲まれていたが、にこやかに話す夫人の後ろに立っていた叔父であるノルベルト公爵が突然こちらへと顔を向けた。
「――ッ」
思わずビクリと肩を跳ねさせる私を気遣うように、サイラスが彼の腕に回していた私の手をそっと撫でる。
「大丈夫?」
「俺も招待状貰ってるから大丈夫だけどね。どうとでも言えるし」
「いいえ、甘えてはいられませんのに」
「甘えてもいいのに?」
「いやいやいや! 流石に甘えられませんよ!? これがオルコットならともかく、リンディ国です、私の国ですから」
彼の提案に愕然としながら首を振ると、彼が少し残念そうに眉尻を下げる。
だが、当然甘えるわけにはいかない。ここは私の国で、今日は公爵からの招待でもてなされる側ではあるが、国単位で考えればリンディ国の王女である私が、オルコット国の王子であるサイラスをもてなさなければならないのだ。
(それを、挨拶まで任せるなんてできないわよ)
ふんす、と鼻息荒く、公爵夫妻へと視線を向ける。
今日の主催であるふたりは招待客に囲まれていたが、にこやかに話す夫人の後ろに立っていた叔父であるノルベルト公爵が突然こちらへと顔を向けた。
「――ッ」
思わずビクリと肩を跳ねさせる私を気遣うように、サイラスが彼の腕に回していた私の手をそっと撫でる。
「大丈夫?」

