幽霊姫は止まれない!

 それならば、少し知っているような相手ではなく中心にいながらも、情報の有用性をしっかり知っている相手が最も安心だ。

 私とサイラスの目的や状況がかみ合っているのがこのパーティーなのである。

「大丈夫そう?」
「ぜっ、全然大丈夫ですけど!?」
(とはいえ、怖いものは怖いのよね……)

 私のことを知らない相手からの誹謗中傷は気にならない。
 だが、それが叔父からものだとすれば話は変わってくる。

「もし人殺しだなんて言われたら」
 そんな不安が頭に過るが、サイラスまで連れ立った状態でここでしっぽを撒いて帰るわけにもいかず、私は邸宅へをまっすぐ見上げた。

(これがオスキャルなら、ネチネチ言われながら背中を押してくれるのよね)
 そして最後には、逃げるという選択肢も出してくれるのだ。当然意地っ張りな私はその選択肢を選ばないけれど、もし私が逃げたいと言った時にどこまでも連れ出そうとしてくれるのがオスキャルという人物だから。
 
 物理的にも、そして精神的にも押して守ってくれるだろう彼を思い出し、胸の奥がざわめく。