彼はただ馬車の外に視線を向けていた。
(彼と結婚したら、いつか頼ったり甘えたりできるのかしら)
きっとそういったことをしても、サイラスは嫌がらないだろう。むしろ可愛がってくれる気がする。
ならば私側の問題だ。
私が、彼にわがままを言ったり、甘えたりできるのかどうか。
そこまで考え、首を左右に振る。
(甘える前提でいるなんて、ダメダメじゃない)
結婚、それも政略結婚ならば、互いにメリットであるべきだ。
エーヴァファリンという人物は、結婚相手としてもちろんメリットもあるが、デメリットだってある末の姫。そんなデメリット込みで嫁ごうとするのだから、結婚相手への負担は少なければ少ないほどいいだろう。
ならばやはり、甘えるなんて論外だ。むしろ彼を甘やかすくらいのスタンスで行かなければと、改めてそう心に決める。
「もう、緊張は解れました! 今日は私にお任せください!」
「緊張は解れた、ねぇ……」
気合を入れ直してそう宣言する。
そんな私に少し意味深な言葉を漏らしたサイラスは、何度も見た笑顔を浮かべた。
(いつかこの笑顔を理解できるのかしら)
(彼と結婚したら、いつか頼ったり甘えたりできるのかしら)
きっとそういったことをしても、サイラスは嫌がらないだろう。むしろ可愛がってくれる気がする。
ならば私側の問題だ。
私が、彼にわがままを言ったり、甘えたりできるのかどうか。
そこまで考え、首を左右に振る。
(甘える前提でいるなんて、ダメダメじゃない)
結婚、それも政略結婚ならば、互いにメリットであるべきだ。
エーヴァファリンという人物は、結婚相手としてもちろんメリットもあるが、デメリットだってある末の姫。そんなデメリット込みで嫁ごうとするのだから、結婚相手への負担は少なければ少ないほどいいだろう。
ならばやはり、甘えるなんて論外だ。むしろ彼を甘やかすくらいのスタンスで行かなければと、改めてそう心に決める。
「もう、緊張は解れました! 今日は私にお任せください!」
「緊張は解れた、ねぇ……」
気合を入れ直してそう宣言する。
そんな私に少し意味深な言葉を漏らしたサイラスは、何度も見た笑顔を浮かべた。
(いつかこの笑顔を理解できるのかしら)

