幽霊姫は止まれない!

「助け合うんじゃなくて、慰め合うんですか?」
「えー、だって失敗する時はどれだけ注意してても失敗するもんじゃん? だったら、やらかしたことは後日反省するとして、まずは思うまま文句を言いつつ傷をなめ合う。これに限るよね」
「その場で反省じゃなく、後日!」
「そりゃ後日だよ。腹立つことがあったのにすぐ自分に反省点とか見つからないって」

 当たり前のように話される彼の持論に思わず目を瞬かせてしまう。
(確かにそれも一理あるけど)

 けれど、王族である自分は誰よりも見本にならなくてはいけないのではないだろうか。それなのに、反省すら後日に回してしまおうだなんて、そんな主張が一国の王太子の口から飛び出したことに驚きを隠せない。
 だが、そんな私の戸惑いを軽く笑い飛ばし、まさしく妹扱いのようにガシガシと頭を撫でたサイラスが自身の人差し指を唇に当ててわざとらしく困り顔を作った。

「だって俺たち、生き物だもん」
「だ、だもん……」
 そのかわいこぶった言い方に愕然としていると、とうとうプハッとサイラスが吹き出した。そのままお腹を抱え、王子だなんて思えないほど大きな口を開けて笑い出す。