幽霊姫は止まれない!

 すべては王族として生まれた私の役割。使命のひとつのはずだから。

「行きましょうか」
「仰せのままに」
 くすりと笑い、私の手を引く。

 着飾った私を間髪入れずに褒められるサイラスと、誰よりも麗しく理想の王子様であるサイラスの手を間髪入れずに取れる私はきっと似た者同士なのだ。
 恋愛なんて二の次だと、そういう立場に生まれたのだと改めて実感しながら、私たちは馬車へと乗り込んだのだった。