幽霊姫は止まれない!

 そんな態度をどれだけ姫が許可しても、普通はそのまま振る舞うなんてできないだろう。でもオスキャルだけは、私の望むままに振る舞ってくれていた。許されているのならばと悪びれず不遜な態度を取るオスキャルという存在が、どれほど貴重だったのかは、彼を失った今、新たについてくれている騎士たちの態度で何度も突きつけられている。

 いや、騎士たちは今までと態度を変えていない。
 どれだけいいと言われても実際そのように振る舞い、不敬罪に問われたら……なんて考えが透けてくるのだ。だからこそ結局は丁寧で、そして当たり障りのない態度をする。もちろんその態度の中には敬意だって込められており、拒否するつもりも怒るつもりもない。
 
 ただ、私の主張を受け入れ、不遜な態度を取っていたオスキャルだけが特別だったと実感するだけである。

 誰よりも私を『ただのエヴァ』として接してくれる彼が、その立場を得るためにどれほどの努力と苦難を乗り越えたのかももちろん知っている。そんな彼を突き放したのは他でもない私自身。
 そして私が今取っている手は、オスキャルではない男性の手だ。

(これでいいのよ)