幽霊姫は止まれない!

 王族特有のピンクの髪の毛には、小ぶりに品種改良された赤い薔薇がカスミソウと共に編み込まれ、ドレスと色合いを合わせていた。

「お兄様、案外センスがいいわね、そう思わない? オスキャ──」
 つい鏡の中の自分に夢中になって口走った言葉に、スンッと表情を消して取り繕う。

 私にはもう、『案外とか言うと絶対怒られますよ』とたしなめてくれる護衛はいないのだから。

「エーヴァファリン殿下、お届け物が届いております」
 表情を消した私の元に侍女が届けてくれたのは、小さな箱だった。その箱を開けてもらうと、中には淡い金色のピアスが入っている。

「これ……」
「サイラス殿下からでございます」
「ありがとう」

 彼の髪色と同じアクセサリーを受け取り、一瞬迷ったが、その迷いを振り払うようにピアスを箱から取り出す。
 窓から差し込む光を反射し、キラキラと輝くそのピアスは、まるで新しい朝を祝うような透明感のある輝きをしていた。

 繊細なカットが施されているのか、どの角度から見てもキラリと輝き美しい。

「返事、しないと」
 今日の帰りまでに私は彼の手を取る覚悟を決めなくてはならない。