幽霊姫は止まれない!

 先日の災厄騒動では、目の前でエヴァ様が命をかけるのを目の当たりにし、種を超えた愛を、もう亡くなった彼女を思い続けるアルフォードを見て確かに自分に重ねたのだ。

「告げる、だけなら」
「あぁ、いい判断だろう。愛とは素晴らしいものだから」
 満足そうなアルフォードに苦笑しつつ、ぎゅっと両手を強く握る。

 そんな俺の小さな願いと決意が、今まさに俺の手のひらから零れ落ちていると気付いたのは、アルフォードと話した翌日のことだった。

 ◇◇◇

(告げるだけ、告げるだけ……!)

 そもそも騎士として、というか男として、自分の気持ちを勝手に暴露されたままうじうじしているというのは女々しいだろう。
 だから、告げる。そう、女々しいと思われたくないからであって、決して何か期待しているわけじゃないんだ!

 ──なんて自分に言い訳をした俺は、きっと本来ならば口にすることすら許されないはずの想いを告げると決めてエヴァ様の私室へとやってきた。

 とは言っても、これは決して彼女の元へ告白したくて押しかけたのではなく、朝から常に脱走を試みる主人との攻防、つまりは業務のためである。