「そういえば、聖女は薬飲んでないけど大丈夫なの? 私とオスキャルは半分こしたんだけど」
「ぶっ」
「えー? あ、確かに私はなんともないわね」
 ふと思い出しそう口にするとオスキャルが思い切り吹き出す。明らかに顔を赤くしているオスキャルに呆れた視線を向けた聖女は、そういえば、と不思議そうに首を傾げた。

「問題ない。そもそもあの薬はスプーン一匙で効果がある。そして免疫の効果もあるんだ」
「なるほど、私は一度かかってあの薬を飲んだもの」
「あら。しかも味見までし二重で対処ができてたのね」
 からかうようにそう言葉を重ねると、じわりと頬を赤らめた聖女と目があった。味見は彼女に効果抜群だったらしい。
 そのことをクスクスと笑っていると、ムッと唇を突き出した聖女が両手を腰に当てた。

「というか姫様、口移しで薬を交換するなんて大胆過ぎてびっくりです!」
「なっ!」
 わざと触れなかった部分を真正面から突きつけられ思わず絶句する。そんな私の様子に意趣返しが成功したと聖女が口角を上げる。