幽霊姫は止まれない!

 そうして暫く間を置いた後、おもむろに彼女が両手を顔の横で振って無抵抗をアピールする。

「ちょっとやめてよ。危害なんて加えないわ、私はね」
「それ、どういうこと?」

 彼女の言い回しに引っ掛かりを覚えた私がすぐ様そう問い詰めると、「これも運命ってやつなのかしら」なんてどこか投げやりに呟いた。

「……私の目的は、こんなところで働く自分の状況を変えて誰よりも敬われる自分になること」
「嘘」
「ははっ、せっかち。でも正解よ、そう偽って、この国で最も能力の高い王太子殿下にお会いすることよ」
「お兄様に?」

 いまだに警戒を解かないオスキャルの横からひょっこりと顔を出した私は、彼女の話に首を傾げる。
 妃の立場を願いながら、その最終目標が兄と会うだなんて一体どういう意味があるのか。

 だがその答えはすぐに彼女によって明かされた。

「警戒されてるみたいで、ふたりきりどころかほぼ会ってくださらないの」
「あー」

 兄以上に姉たちが警戒していることを思えば、確かに誰かしらが邪魔をするのは簡単に想像がつく。