幽霊姫は止まれない!

 それと同じで、吸血鬼も元は創作。人の生き血を食料としている人間はおらず、ただただ『人間と見た目はかわらないバケモノ』という創作物であり、そして魔女とは違ってその設定に該当するような、例えば生き血を吸わなければ魔力を使えないなんて人間も聞いたことはない。
 また、魔法の使える魔女、というわかりやすい設定とは違い、吸血鬼にまつわる話はもっと多く、若い令嬢の血だけを望むだとか、一度でも血を吸われれば吸血鬼の仲間になるだとか、設定は本によって様々だった。

「夜闇の館の吸血鬼は、まぁ娼館だからね。若い女性の血を好むという設定を採用していて、アンタたちが最初に冊子で選んだのは『好みの獲物を物色した』という部分を模してるの」
「なるほど、そういうパターンの小説からとっているのね」
「……ね?」
「とっているんだな!」

 ついいつもの口調に戻ってしまった私を庇うようにオスキャルが大きな声を出したので、聖女が一瞬驚いて目を剥くが、何もなかったかのようにすぐに説明を再開してくれた。
 ナイス誤魔化しである。