幽霊姫は止まれない!

 聖女は、王城で見るような清楚な聖女服ではなく、胸元がガバリと大きく開いた真っ赤なドレスを着ている。頭を下げた瞬間谷間を見せつけるよう胸を寄せたのはきっとわざとだろう。オスキャルがその胸元に目を奪われないよう彼の足を思い切り踏みつけ興味を逸らした私は、改めて彼女の服を見た。
 
 吸血鬼というコンセプトだからか、噛みつきやすいように首元も露になったそのドレスはどこかテロテロとした光沢のある布地で作られており、どこか安っぽいデザインにも見える。どうやらちゅうちゅうするのではなくされる側を想定した服らしい。

「こっちよ」

 真っ赤に塗った唇を僅かに開き、そう言いながらまるで挑発するように顎を動かす彼女についドキリとしてしまう。

(これが本物の娼婦ってことね)

 やっぱり前回遭遇したのは娼婦ではなくバケモノだった……という考えを慌てて振り払いながら彼女について行くと、一番奥の部屋へと案内された。
 その部屋は前回一瞬見えた内装とは違い、まさに〝普通の〟令嬢の部屋のような作りになっており、窓際に置かれている丸テーブルの上には真っ赤な薔薇が飾られている。