「ど、う、し、て! わざわざ娼館へ再び足を踏み入れることになったんですか!」

 てっきり褒めてくれると思ったのに、私の話を一通り聞いたオスキャルがそう声を荒げたのを見て思わず唇を尖らせてしまう。
 だが、オスキャルは私がムスッとしたことに気付いていないのかわざとなのか、そのままお説教を続けるようだった。

「相手が認めたならそのままそこで聞き出せばよかったでしょう」
「いつ護衛騎士たちが聖女を探しにくるかわからなかったし」
「俺がたった三人を制せないとでも?」
「うっ」

 しれっと傲慢にも思えることを言われるが、確かにオスキャルならば脇を抜かれるなんてミスは起こさないだろう。
 だがそれを認めるのは悔しくてつい反論してしまう。

「でも、誰かが……例えばブランカ姉様が聞き耳をたてるかもしれないわ!」
「いや、それ全然いいでしょ。殿下ふたりからのご依頼で調べてんですから」
「うぐぐ」

(正論!)

「でもでもでもッ! そ、そう。相手のテリトリーに入ることが大事なのよ」
「はい?」