幽霊姫は止まれない!

「最初から違うのかしら」
「と、言うと?」
 ポツリと溢した私にオスキャルが首を傾げる。
 そんな彼にチラリと視線を向けた私は、すぐに考え込むように空を見上げた。

「お兄様との婚姻は、お兄様が好きなんじゃなく預言だったから、よね」
「そうですね」
「預言が嘘だった場合、その預言を偽った理由は王太子妃のポジションだも思ってたけど」

 兄と結婚したいのは、兄が好きだからだと思ったけれど。

「そもそもお兄様のことを好きじゃないのかもしれないわ」
「王太子妃の立場自体が目的ってことでしょうか?」
「多分ね」
「お金か……」

 私の結論にポツリとそう呟いたオスキャルに、私は首を左右に振ると、きょとんとした彼と目があった。

「お金で王太子妃は狙わないでしょ」
「いや、狙いません?」
「狙わないわ。少なくとも妃教育が始まればね」

 一般的に考えれば高貴でかなり優遇され大事にされると思うだろうが、実際の王太子妃は常に視線に晒されるので贅沢はあまりできない。

 王族は民からの税で成り立っているのだ。