幽霊姫は止まれない!

 エーヴァファリンとしてはぶっちゃけ「別に」という感じというか、むしろ幽霊姫と蔑まれているが、王太子の護衛騎士ヴァルは違う。どこに行っても令嬢たちから黄色い悲鳴が上がる。

「相手もプロだけど、私もプロみたいなものじゃない?」
「全然違うと思いますけど!?」
 
 うんうんと頷きながらそう告げると、愕然とした表情のオスキャルと目が合ったが、まぁ彼からすれば私だけがモテることに納得はできないのだろう。
(だって遅めの思春期だものね)

「口説くって言っても軽くよ。もしかしたら私のお義姉様になるかもしれない人だもの、お兄様との対決とか絶対嫌だし」
「いや、王太子殿下は別に聖女様に懸想されてはおりませんが」
「でももし簡単に私になびくようなら……じゃなく、聖女を偽っている娼婦だとすれば王太子妃として認めるわけにはいかないわ。王族としてね!」
「はぁ」
「だから接触して、探るわよ! 懐の中を!」
「今度はそのパターンかぁ……」

 気合を入れる私とは違いがくりと項垂れるオスキャル。だが、接触に失敗し警戒までされたのならこの方法しかもうないだろう。多分。