「いや! 美味しく食べたことは俺、ありませんから!」
「え、食べたこと、ないの?」
(食事しないで酒屋に何しに行くのよ)
 そして何かの弁解をするようにそう宣言されるが、その宣言の意味がさっぱりわからない。
 食事しないというならお酒だけ飲んでいるということなのだろうか。

「じゃあ、ずっとただ飲むだけってこと?」
「なっ、ナニを飲むんですか!? 俺、そんな特殊なことしませんけど!」
「えぇっ? そんなの」
 私の質問を、今度は顔を真っ赤にして否定したオスキャルにますます首を傾げる。
 一体何だというのだろうか。

「飲むと言ったらお酒に決まってるでしょう」
「お酒の話だったーーッ」
「な、なんなのよ、もう」
 私の返事を聞き、ぐしゃりとその場に倒れ込んだオスキャルにますます怪訝な顔を向けると、もう泣いているんじゃないかと思うほどのか細い声でオスキャルが声を発する。

「歓楽街は……お酒だけを楽しむ場所じゃないんですよ……」
「な、なら何を楽しむのよ」
「女性との、夜のひと時です……」
「夜の、ひと時?」