幽霊姫は止まれない!

 けれどその相手が自分ならば、同じだけの愛を必ず手にでき、そして絶対に裏切らない味方で居続けることもできる。何よりオスキャルは命をかけて戦う騎士だ。自身の命を軽く見ているわけではないだろうが、その気高い騎士の精神で命と引き換えに誰かを、今ならば主君である私を守ることが義務付けられている。そんな彼が自身を一番に愛し自身を一番に守るなら、それは悪いことではない。私だって彼の命を犠牲にして必ず生き残りたいなんて思っておらず、万一そういった危機を迎えたならばふたりともが生き残る道を模索したと思っているから。
「それとも彼、想いが通じ合った恋人でもいるの?」
「いないわ」
「じゃあ政略的な婚約者は?」
「それも、いないと聞いているわ」
「なら何も問題はないじゃない!」
 パチンと両手を叩き、嬉しそうにローザが笑う。確かにオスキャルには今恋人も婚約者もいない。

 だけど、これでいいのだろうか。