「そうね。……ねぇ、あのふたりお似合いだと思わない?」
伯爵令息のオスキャルと同じく伯爵令嬢のイェッタ。ソードマスターであるオスキャルは結婚相手を自国からしか選べないが、イェッタは自国の貴族令嬢で条件だって当てはまっている。
きっと私たちの物語があったのなら、一途に想い続けていたイェッタこそがヒロインで私はふたりの恋を邪魔する当て馬とやらなのだろう。
でも。
「どれだけお似合いでも、オスキャルは譲れないの。だって彼は私の唯一だから」
「そうですか」
まるで全てわかったように頷くミック公爵令息は、そう一言だけ返してそれ以上は何も言わなかった。
ただ私が選んだというだけの護衛騎士。
けれど、私にとってはそれだけじゃない、特別な約束の特別な人。
一曲を終えてイェッタと共に戻ってきたオスキャルは、しれっと私とミック公爵令息との間に割り込む。
そんな些細なことが少しだけ嬉しいのは内緒である。
◇◇◇
目的を達成した私たちは、少し早めに会場を後にした。
借りている宿へと戻る馬車の中で、どこか不安気にオスキャルが口を開く。
「誰とも踊らなくて良かったんですか?」
伯爵令息のオスキャルと同じく伯爵令嬢のイェッタ。ソードマスターであるオスキャルは結婚相手を自国からしか選べないが、イェッタは自国の貴族令嬢で条件だって当てはまっている。
きっと私たちの物語があったのなら、一途に想い続けていたイェッタこそがヒロインで私はふたりの恋を邪魔する当て馬とやらなのだろう。
でも。
「どれだけお似合いでも、オスキャルは譲れないの。だって彼は私の唯一だから」
「そうですか」
まるで全てわかったように頷くミック公爵令息は、そう一言だけ返してそれ以上は何も言わなかった。
ただ私が選んだというだけの護衛騎士。
けれど、私にとってはそれだけじゃない、特別な約束の特別な人。
一曲を終えてイェッタと共に戻ってきたオスキャルは、しれっと私とミック公爵令息との間に割り込む。
そんな些細なことが少しだけ嬉しいのは内緒である。
◇◇◇
目的を達成した私たちは、少し早めに会場を後にした。
借りている宿へと戻る馬車の中で、どこか不安気にオスキャルが口を開く。
「誰とも踊らなくて良かったんですか?」

