幽霊姫は止まれない!

 勢いよくそう断言され、一体何が彼をそんなにも興奮させているのかとますます首を捻りつつ、折角来たのだからとその髪飾りを手に取るが、ふとあることに気が付いた。
 今の私は平民設定なのだ。髪飾りひとつとはいえ、ここは高級店。平民の私が簡単に買える値段ではない。そしてここにいるのはオスキャルのみ、一度彼に立て替えて貰うしかないだろう。
(仕方ないわね、お金はあとで返しましょう)

「オスキャル、悪いんだけど私にプレゼントしてくれないかしら」
「お、俺にお金を払わせてくださるんですか!?」
「その言い方だと払いたいみたいなんだけど……」
 プレゼントを主君から買わされそうになっているにも関わらず、何故か嬉しそうにするオスキャル。本当に大丈夫なのだろうか。
「もちろん後で返すから」
「えっ、髪飾りをですか!?」
「え。髪飾り、オスキャルも欲しいの?」
「いりませんけど!?」
「本当にどうしちゃったの、熱でもあるんじゃない?」
 返すのは立替えて貰ったお金の方よ、なんて説明しつつ流石にそろそろ心配になった私は背伸びしてオスキャルの額に手のひらを当てた。

「やっぱり少し熱いみたいよ?」