June〜幸せにする〜

(みずきはお菓子とお酒を大量に買ってくるだろうから、おつまみ系を作ればいっか)

ここ数日降り続いている雨のせいで心が沈みそうになったものの、みずきと映画を観ることを考えると胸が弾むのだから不思議なものである。

洗濯物を畳み終わり、キッチンで新がおつまみとなりそうな料理を三品ほど作り終えた頃、玄関のドアが開く音がした。

「ただいま〜」

「おかえり〜。ってびしょ濡れじゃん!早くお風呂入って!」

傘はやはり役に立たなかったようで、みずきは全身ずぶ濡れだった。そんな彼女はインコの柄のエコバッグを差し出す。中には本屋で買った本が紙袋に包まれて入っている。

「これ、リビングに持って行って。エコバッグのおかげで中身は多分無事。新の好きな漫画の新刊出てたからついでに買ってきたよ」

「あれ?今日発売だったっけ?ありがとう」

みずきはひらひらと手を振ると浴室へと向かっていく。その後ろ姿を見送ってから、新はリビングに入り、漫画を取り出すために紙袋を開けた。開けた瞬間、新は固まってしまう。