【私も会いたい、って送っちゃった】

【そう。もう返信来た?】

【うん、来た。今から行く。衝動が抑えられなかった。ミオリも会いたいって言ってくれてありがとう、って】

【なかなか臭いセリフ、というか、甘いセリフ吐く男だね】

【でもキュンと来ちゃった】

【単純だね】

【単純って、どストレートすぎる。ハルカもウラセくんに毎回ときめいてんじゃん。それと同じだよ。つまりハルカも単純な女ってことだね】

【なんか自分煽られてる?】

【煽られたから煽り返してあげただけだよ】

【ああ、やられたらやり返す的な?】

【そう、それ】

【ちなみに漢字は殺すの方?】

【ちょっと、それは物騒すぎるから】

【ミオリはさ、自分の大事な人が殺されたら、犯人を殺し返す?】

【いきなりどうしたの? やめてよ、そんな怖い話。でも分かんないね。私の周りで誰か殺された人なんていないし。まあ大事な人殺されたら復讐心は芽生えるかもしれないね。殺す殺さないは別として】

【それはつまり殺すってことだ】

【うーん、そうかもだけど、私に殺す勇気なんてないから、犯人を殺したいほど憎みはしても、実際に手にかけることはしないよ、きっと】

【そっか、なんか安心した】

【ハルカもそうでしょ】

【そうだと思うけどね】

【意味深な言い方しないでよ】

【自分のことは何でも分かるって思いがちだけど、案外分からないこともたくさんある。寧ろそっちの方が多いと思う】

【それは言えるかも】

【だから、他人のことなんてもっと分からない。察して、とか言うけど、そんなの難しいに決まってる】

【……ん? あれ、私説教されてる?】

【愚痴を聞かされてる】

【愚痴か。凄く哲学じみた愚痴だね。てかウラセくんは? ハルカ、ずっと私とやり取りしてるけど】

【ああ、トイレ行ってる】

【トイレか】

【言ってたら出てきた】

【新喜劇じゃん。あ、私もちょうど、もうすぐ着くって、セガワくんから】

【そう、嬉しい報告待ってる】

【告白する前提やめてよ】

【告白しないんだ】

【正直、する心構えができてないんだよね】

【雰囲気に任せる感じか】

【そうなるね。でも頑張る。この機会を逃したくないし】

【うん、頑張れ】

【ありがとう。ハルカに良い報告ができるように努力するよ】

【楽しみにしてる】

【わ、セガワくん来た。どうしよう。緊張する。一気に心拍数が跳ね上がっちゃったよ】

【深呼吸して、落ち着いて、ちゃんと息して】

【頑張る。息はしてる。でも、ありがと、ハルカ。じゃあ、そろそろ。ウラセくんと仲良くね。彼がいるし、今夜は安心して眠れるね。今度こそまたね】

【うん、おやすみ。セガワくんとどうなったか、報告待ってるよ】