空に還る。

その日、両親、私、きっちゃんで街のほうのスーパーへ買い出しに行った。

ホワイトシチューが嫌いな私が唯一食べられる、母のパンプキンシチューを作ってくれた。
冬を連想させるシチューだけど、うれしい気持ちは隠せなかった。

あぁ、こんな味だったなって思って、
まだ十五歳になる直前なのに母親の味が懐かしいなんて、やっぱりちょっと悲しかった。

きっちゃんはまた「ハイカラなもん」って言って、
両親をきょとんとさせた。

夜、ベッドに潜り込む私と、
その下に敷いた布団に潜り込むきっちゃん。

鼓膜には両親の「おやすみなさい」の音が焼き付いている。