空に還る。

ごめんなさい、ごめんなさいって
私に本心で言っているのか、
自分達を赦したいだけなのか分からないけれど
ぼろぼろと涙を溢す母。

家族の感動秘話として私は受け入れなければいけないのか。
そんなことできっこない。

私の願いを、期待をこの人達に何度踏みにじられてきただろう。

それでも繰り返し、家族の愛を夢みていたのは私なんだから笑えない。

「すぐには無理…」

「当然たいね。すぐにあんずに信用してもらおうとは思っとらん。さっきも貴市くんのことで嫌な言い方ばしてしまったね。貴市くん、すまんかったね。あんず、今まで血の繋がっとらんけんって厄介ごとから目ば逸らしてかっこ悪か男で申し訳なかった…。あんずに父親やって思ってもらえるごとこれから努力するけん。もう一回、家族ば信じてくれんね…?」

「あんず…本当にごめんなさい。あんたば一番死にたかごとさせとったとはお母さんやった。誰よりもあんたに生きてほしくて、その為やったら全てを捧げるべきお母さんが…。お母さん、ちゃんとあんたの顔ば見るけん。声ば聴くけん。絶対に殴ったりせん。あんたば殴るくらいやったら腕ば切り落としてもよか。一緒にやり直そう。お願いします」

「一緒にやり直すってなに…。私も一緒に壊したごと言わんでよ。ずるかばい!?ずるか…。私だって分かっとる!ずっと自分だけの力で生きてきたわけじゃなかって。お母さんがおかしくなる前はどんだけ苦しい思いして育ててくれとったか、小さかったけど今なら分からんでもない。ずるかやん…。知らんやろ。一人のこの家は広すぎる…。やけんきっちゃんが来てくれてうれしかった。″一人″ば忘れられてホッとした。私は…家族が本当はどげんもんか知りたかった…」