空に還る。

姉の人生は姉のものなんだと。
そんな当たり前のことを叩きつけられて、
鈍器で頭を殴られたような気分だった。

おめでとうって言えない…。
自信がない。

また私じゃない誰かばかりが大切な物を見つけて、
未来を生きる光を手に入れて
幸せになっていく。

どこを見渡しても希望なんか持てない田舎の町を呪った。

どれだけ暴力が怖くても
ここ以上の場所に行ける力なんて、私は持っていない。

だけど姉は飛び出した。
自分の足で、自分の意志で。
愛されることを、愛することを恐れずに、
自分の手で幸せを勝ち取った。

学生だから、経済力なんか無いから、
ここにいるしかしょうがないから。

動き出せない自分を、
この町や状況のせいだけにして私は逃げ出すことからすら、逃げていたのだろうか。