空に還る。

姉が土日になると必ず現れる場所。

三部目の、写真が添付された書類を捲った。
赤ちゃんを抱っこ紐で抱えながら
託児所の看板が付いた建物に入っていく、去年の冬以来ぶりに見る姉の、ちょっとボヤけた顔。

「あの子ね、子どもば産んどったとよ」

「…ほんとにおねぇの子?」

「そうばい。今年の六月にね。お姉ちゃん、去年の十一月に出ていったやろ?そん時にはもう三ヶ月になっとったとって。私達には言えんけん彼氏の親と病院行ったごた。不安やったろうね。怖かったやろうね…。話せんまま産むことば決めて出ていったとね。彼氏ともちゃんと籍ば入れて暮らしとるみたい。ここの託児所ね、土日になったらボランティアで子育ての悩みば聞いてくれたり、知識ば教えてくれるらしか。仲良か同年代の友達もできたごた」

「会いに行こうと思っとる。いきなり行ったらいけんけん、旦那さんの実家に先に連絡するつもりでおるっさ」