空に還る。

「…はぁ?」

「まだなんも辿り着けとらんかったけん、あんずに話す段階までいけとらんかった。でも、よかとこまでようやくいけたけん。貴市くんか?こん子の話ばお母さんから聞いた時に、あんずにも話ばしようって決心したと」

「なんば言いよっとって。全然分からんたい」

「これば見て」

母がA4サイズくらいの大きい茶封筒をトートバッグから取り出して
テーブルに置いた。

少し厚みがある。
何かの書類だろうか。

手に取ってみると
封筒は想像していたよりも重みがあった。

封筒には繁華街のほうの住所と、
そこがどんな場所であるかを示す名称が印字されている。

「探偵事務所…?」

引き抜いた書類は種類ごとに分けられているのか
三部あって、それぞれクリアファイルに入っている。

「調査報告書」と書かれた書類を捲る。
難しい文章が書かれていて、
そこに母、義父の名前と、姉の名前もある。