空に還る。

昨晩はスマホのアラームをセットすることも忘れたまま眠ったらしい。

夏休みに早起きすることなんてないし、
昨日は遅くまで琴音と通話…というか、
海でサコソウにどうやってアプローチをかけるか、の作戦会議…というか、
琴音の決意表明を聞かされていた。

うちには登校日だからといって起こしてくれる人は居ない。

スマホには案の定、琴音から「サボり!?ずるい!」なんてメッセージが入っている。
私は素直に寝坊であることを返信して、
今から登校する気なんてもうゼロだけど、
一応ベッドから這い出て一階の洗面所に向かった。

顔を洗って、歯磨き。
適当に髪の毛を整えてから、これまた適当なTシャツと、ほとんど部屋着のハーフパンツに着替える。

山、川、海。
最寄りのコンビニまでは歩いて二十分弱。
スーパーなんて存在しない。
道を歩けばすれ違うのは酒屋さんの前の自動販売機と
神社のお地蔵様。
それから親戚なのか他人なのかもはや分からない、ジジババだけ。

お洒落なんかしたって意味は無いし、
むしろどんな格好で出歩こうが誰も私のことなんて見ちゃいないんだからラクではある。

十時五十分。
もうすぐ黙祷の時間になる。

ナチュラルにサボってしまったことへの罪悪感ってわけじゃないけれど
なんとなく、長崎人としての自覚はやっぱり拭えないのか。
黙祷だけは捧げておこうと、自宅の目の前の神社に立ち寄った。