「あんず、座らんね」
母と義父がソファに腰を下ろす。
その向かいに私ときっちゃんが並んで座った。
きっちゃんは気まずそうに手のひらで膝小僧をさすっている。
それはそうだろう。
突然知らない家庭の家族会議だかなんだかに巻き込まれて、
きっちゃんはそれどころじゃないのに。
「あの…あんずの母ちゃん…もし僕のことであんずば叱るとやったら」
「そん話じゃなか。あんたにはもうなんも思っとらんけん好きにせんね。あんずの言う通り。今更口出しされても気ぃ悪かたいね?」
「なん…急に…」
「あんず。私達はね…今までのことばあんたに謝りたか。そう思って、こん人とも話ばしよったったい。そのきっかけは…貴市くん。あんたたい」
「僕?」
「あんずがあんたば受け入れたかって言って来た時、頭んきたとは本当。子どもがなん言いよっとねって。食費だって自分の小遣いじゃなかやろうって。そう思った瞬間に、急に自分のしてきたことば目の前に突きつけられたみたいになってさ。その日まで、自分のことば振り返っとらんかった自分が恐ろしくてさ」
「今更自分が後悔したけんって許してほしくていい親のふりしたかったってこと?」
「…そう思われてもしょうがなかよ。あんたが貴市くんのことば言ってきた時、こん子にも誰かば助けたか、よか思い出ば作ってあげたかって気持ちのあったっばいって…うれしかって思う前に情けなさと後悔ば感じてからね。あんたから逃げ続けた時間で、あんたはどんどん大人に成長しとったんやって。そこから目ば逸らして、会えば意地になって喧嘩ばして…私はあんたにとって鬼のままやったね」
「あんさ、お母さん。私から逃げんばくらい、私はダメな娘やったと?私があんた達になんばしたと!?」
母と義父がソファに腰を下ろす。
その向かいに私ときっちゃんが並んで座った。
きっちゃんは気まずそうに手のひらで膝小僧をさすっている。
それはそうだろう。
突然知らない家庭の家族会議だかなんだかに巻き込まれて、
きっちゃんはそれどころじゃないのに。
「あの…あんずの母ちゃん…もし僕のことであんずば叱るとやったら」
「そん話じゃなか。あんたにはもうなんも思っとらんけん好きにせんね。あんずの言う通り。今更口出しされても気ぃ悪かたいね?」
「なん…急に…」
「あんず。私達はね…今までのことばあんたに謝りたか。そう思って、こん人とも話ばしよったったい。そのきっかけは…貴市くん。あんたたい」
「僕?」
「あんずがあんたば受け入れたかって言って来た時、頭んきたとは本当。子どもがなん言いよっとねって。食費だって自分の小遣いじゃなかやろうって。そう思った瞬間に、急に自分のしてきたことば目の前に突きつけられたみたいになってさ。その日まで、自分のことば振り返っとらんかった自分が恐ろしくてさ」
「今更自分が後悔したけんって許してほしくていい親のふりしたかったってこと?」
「…そう思われてもしょうがなかよ。あんたが貴市くんのことば言ってきた時、こん子にも誰かば助けたか、よか思い出ば作ってあげたかって気持ちのあったっばいって…うれしかって思う前に情けなさと後悔ば感じてからね。あんたから逃げ続けた時間で、あんたはどんどん大人に成長しとったんやって。そこから目ば逸らして、会えば意地になって喧嘩ばして…私はあんたにとって鬼のままやったね」
「あんさ、お母さん。私から逃げんばくらい、私はダメな娘やったと?私があんた達になんばしたと!?」