空に還る。

「あいつから聞いとる。子どもが子どもば預かっておままごとしよるって」

「きっちゃんはそげんじゃなか!おままごとしよるとはあんた達やろ!?」

「どういう意味な?」

「子どもば捨てて出ていった女と適当に再婚して家のあるけんって簡単な気持ちでついて来たっちゃろ!おねぇがあげんなったけんっておらんくなったら私のことは放置!よかね、飽きたら簡単に捨てられて。あんたらのこと反面教師やけん。無責任におままごと遊びなんか私はせんけん!」

「あんず。お前はお母さんの気も知らんでようそがん言うな?この飯だってなんや?誰がやった金で食いよっとね?」

「あんたこそよう″お母さんの気も知らんで″とか言えるね?どんっだけ暴力されとっても見て見ぬふり!よう平気な顔しておれるなって思っとったけど、どんだけ家族が壊れてもあんたの家族じゃなかもんね?そりゃあ平気ばいね」

殺してやりたい。
今ここで。
その後どうなったって、そんなことはどうでもよかった。

憎くて堪らない。
きっちゃんがどれだけ不安な気持ちでここに居るかも知らないくせに。

私がどれだけ家族を憎めば、
どれだけ呪いを捧げることで自分の心を保てるか願っていたか、知らないくせに。

「あんず、だけん話ば…」

「話…?は?なん…そげんしおらしくしてなんの目的やて…」

ギュッと、きっちゃんに手を握られていることに気がついた。
泣いてしまいそうだった。

こいつの前で泣くなんてそんな悔しいこと、
絶対にしたくないのに。