空に還る。

「あんず、どうすっと?」

「どうするって、なんが?」

「おばさんのことたい」

「んー…うん。ねぇ、琴音?いつから気づいとったと?」

「そげんと、もうずっとたい。痣ば作って学校来たことも何回もあったやろ?」

パラソルのおかげで私達は陰に隠れられているけれど
一歩、日向に出れば暴力的な太陽の熱が降り注ぐ。

日焼け止めジェルを塗ることに徹していた私達だけど、
服を着ているからって油断は出来ない。
首より下の、肩甲骨の辺りまでは塗っておきたい。
届きにくい部分はお互いに塗り合いっこをしていた。

琴音が痣のことを言いながら、背中に触れる。
なんだかピンポイントに触れられた気がして、体が硬くなる。

「じゃあみんなも気づいとっとかな」

「それはどうか分からんけど…。あんさ、このまま高校生になって、大人になってもずっとこのままでおるとね?無理やろ?」

「私が無理やと思ってもしょんなかことたい。嫌って言ったって完全に一人で生きてけるわけじゃなかし」

「かのさんだっておるたい」

「言えんよ。変に心配かけるたい」

「親戚やもん。よかたい」

「気まずかやん」