「どうしてもダメですか」
「きっちゃん…?」
そっと目を開ける。
左頬を押さえて、きっちゃんが私を背中に隠すようにして母の前に立ち塞がっている。
母が振り上げた手のひらは
きっちゃんの頬に当たったみたいだった。
「僕、寂しかったんです。ずっと。兄さんも母さんも父ちゃんも忙しかけん。こげん時に寂しいとかなんとかゆうとる場合じゃなかって言い聞かせとったんです。でもあんずが分かってくれて。あんずも寂しかったけん。だけん分かってくれたとやって分かるんです。もし、この思い出作りができたら僕はこの先も頑張れるけん。お願いします。悪いことはしません。お願いします」
サコソウが効かせた機転に乗っかるような言い方をしたけれど、
きっちゃんはきっと本当の家族に向けて、今の状況に対して吐露したのだろう。
もう誰にも否定できないくらいに、その目は真剣だった。
「きっちゃん…?」
そっと目を開ける。
左頬を押さえて、きっちゃんが私を背中に隠すようにして母の前に立ち塞がっている。
母が振り上げた手のひらは
きっちゃんの頬に当たったみたいだった。
「僕、寂しかったんです。ずっと。兄さんも母さんも父ちゃんも忙しかけん。こげん時に寂しいとかなんとかゆうとる場合じゃなかって言い聞かせとったんです。でもあんずが分かってくれて。あんずも寂しかったけん。だけん分かってくれたとやって分かるんです。もし、この思い出作りができたら僕はこの先も頑張れるけん。お願いします。悪いことはしません。お願いします」
サコソウが効かせた機転に乗っかるような言い方をしたけれど、
きっちゃんはきっと本当の家族に向けて、今の状況に対して吐露したのだろう。
もう誰にも否定できないくらいに、その目は真剣だった。



