空に還る。

「でもさぁ、帰る方法とか言っても…ねぇ?」

琴音が私達に目配せをして、
私とサコソウも頷いた。

「遠い県から来ましたとかそういう次元じゃなかけんね。飛行機代、新幹線代ば工面しますで済む話じゃなかもんなぁ」

サコソウが頭を抱えて、
私と琴音も途方にくれた。

これは現実に起こってしまったことで、
現実的に、私達は誰も魔法なんて使えない。

呪文を唱えて魔法のステッキを振って、
キラキラの光に包まれながらきっちゃんが時空を超えていけるのなら素敵だけど、
現実世界でそんなことは起こらない。

もう一度好きな人に会う為に、
家族の元に帰る為に…。

それを背負うには十三歳のきっちゃんの体はあまりにも小さい。