空に還る。

「海、いつって言いよったっけ」

「八月九日ばい」

夏休みにも入っていないのに、まだ一ヶ月くらい先の話だ。
…っていうか。

「登校日やん」

長崎では夏休みでも八月九日と二十六日は登校日と定められている。

九日は言わずもがな。
第二次世界大戦中、長崎の街へ原爆が投下された日。

全校生徒が体育館に集められて、被災者の方の実体験のお話を聞いて、
原爆が投下された十一時二分。全員で黙祷を捧げるのだ。

これは学校内だけじゃない。
長崎の街、全てで黙祷の合図となるアナウンスが流れるようになっている。

長崎では事あるごとに平和学習が行われている。

社会科見学では毎年必ず原爆資料館、平和公園。
道徳の時間には関連する映像を数え切れないくらい観てきた。
原爆投下の日の朝を題材にした童謡は、長崎の子ども達はみんなソラで歌えて当たり前だった。