空に還る。

「じゃあ、そん人に会う為にも絶対帰らんばたい

サコソウがきっちゃんの坊主頭をガシガシッて雑に撫でた。

どうしてこの人達は、こんなにも素直にこの状況を受け入れられるのだろう。

これは映画やドラマ、夢なんかじゃない。
現実に起こっていることなのに。
怖くないのかな。
自分がおかしくなってしまったとか不安にならないのかな…。

「琴音、サコソウ」

「ん?」

「なんで信じてくれると?こげんこと」

「なんでって…」

二人が顔を見合わせる。
もう一度私に視線を戻した琴音が、マリア様みたいな優しい顔で微笑んだ。

「電話でも言ったたい。あんずが言うことやけんって」

「琴音…」

心臓の辺りがちゃぷんってして、
上がってきちゃいそうな涙をグッと飲み込んだ。

それなのにきっちゃんが「飛んできてしまったとがあんずのとこで良かった」なんて言うもんだから、もう堪えきれなかった私をサコソウが笑って、
琴音に抱き締められた。

「私達はあんずの味方やけん。それならあんずが信じた子の味方にだってなるやろ?」

琴音の言葉に、きっちゃんのほうが照れくさそうな顔をした。