「ママさんに話したとね」
「あん人は黙っとってもすぐ気づくけん。そのほうがややこしか」
「乗った瞬間やったもんね。″あんたら付き合ってるでしょ!″って」
ジメジメした鬱陶しい猛暑には似合わない、
カラッとした爽やかな笑顔でサコソウは笑う。
どれだけ淀んでいても周りの空気を破るような笑顔が好きだって、琴音も言っていた。
「サコソウも琴音ば好きとか気づかんかった」
「俺は結構分かりやすかと思うけどね。琴音としかあんま喋らんやったもん」
「じゃあさっさと言わんねって思うよねぇ?女から言わせるとかさ!」
「そうばい。琴音さ、海行くともサコソウが行くけんがやったし、告るまでうじうじ、うじうじしとったっちゃけん」
「そげんでもなかったろ!?」
「あった、あった」
「わーっかったって!今度なんかあったら男らしくキメるけん。それより…」
「あ、かのちゃん」
歩きながら喋っていたら、たばこ屋の前にかのちゃんが居た。
庭の松の木を手入れしていたのか、額は汗だくで、
首に掛けたタオルでしきりに拭っている。
白いタオル。青色の酒屋のネームロゴが見えた。
かのちゃんはもう八十五歳くらいにはなるはずだ。
元気過ぎる。
こんな猛暑、私達だってしんどいのに。
かのちゃんは若い頃から転々とする人で、
東京のほうで暮らしていたこともあるし、芸能関係者の友人も多かったらしい。
私が産まれてからはずっとこの町に居るかのちゃんしか知らないけれど、
祖父母からもよく、かのちゃんがキラキラした生活を送っていたことや、
きっちゃんも言っていたけれど、昔からきれいな子だったって聞かされていた。
かのちゃんの中のアクティブさは今も健在なのかもしれない。
「あん人は黙っとってもすぐ気づくけん。そのほうがややこしか」
「乗った瞬間やったもんね。″あんたら付き合ってるでしょ!″って」
ジメジメした鬱陶しい猛暑には似合わない、
カラッとした爽やかな笑顔でサコソウは笑う。
どれだけ淀んでいても周りの空気を破るような笑顔が好きだって、琴音も言っていた。
「サコソウも琴音ば好きとか気づかんかった」
「俺は結構分かりやすかと思うけどね。琴音としかあんま喋らんやったもん」
「じゃあさっさと言わんねって思うよねぇ?女から言わせるとかさ!」
「そうばい。琴音さ、海行くともサコソウが行くけんがやったし、告るまでうじうじ、うじうじしとったっちゃけん」
「そげんでもなかったろ!?」
「あった、あった」
「わーっかったって!今度なんかあったら男らしくキメるけん。それより…」
「あ、かのちゃん」
歩きながら喋っていたら、たばこ屋の前にかのちゃんが居た。
庭の松の木を手入れしていたのか、額は汗だくで、
首に掛けたタオルでしきりに拭っている。
白いタオル。青色の酒屋のネームロゴが見えた。
かのちゃんはもう八十五歳くらいにはなるはずだ。
元気過ぎる。
こんな猛暑、私達だってしんどいのに。
かのちゃんは若い頃から転々とする人で、
東京のほうで暮らしていたこともあるし、芸能関係者の友人も多かったらしい。
私が産まれてからはずっとこの町に居るかのちゃんしか知らないけれど、
祖父母からもよく、かのちゃんがキラキラした生活を送っていたことや、
きっちゃんも言っていたけれど、昔からきれいな子だったって聞かされていた。
かのちゃんの中のアクティブさは今も健在なのかもしれない。



