空に還る。

「お金払ってまで行かんでよかもん。海なんか見飽きたけん」

「あんず。まだ十四歳とにそがんこと言いよったら一気に老けるとばい?あんた八月になったらもう十五歳やろ。一気に百歳くらい老け込むっちゃなかと?」

「海に行かんでよかなら本望ですー」

「はぁー…もう。分かったけん。じゃあ水着買いに行くとだけ付き合ってよ」

「琴音はどうしても行くとね」

「行くよ。だって…」

「サコソウが行くけんやろ?」

サコソウ。
本名は迫颯馬(サコソウマ)
同じクラスの男子で、琴音の好きな人。

図星みたい。
琴音は分かりやすく、頬を真っ赤に染めた。

「お願い。買い物に付き合ってくれるだけでよかけん」

「わーかったよ!」

「本当!?やったぁ」

私が海に行かんって言った時はあげん不貞腐れとったくせに
今はもうニコニコになっとる。

私が行くかどうかより、本当はサコソウと海に行けるってことのほうが重要なんだろう。