空に還る。

「…死んだとね?」

「死んだ、って言っても戦争では死んどらんばい。やけん友達とかなんか繋がりがあるとやったら大丈夫。きっちゃんのことは…」

きっちゃんが戦争時代を生き抜いたかどうか、分からない。

この町に、リアルタイムの年齢のきっちゃんみたいな人、居たっけ。

いや。
ファンタジーの話を鵜呑みにするのなら、
タイムリープをして同じ時間軸に同時に同じ人は存在できないはずだ。

それが事実なら、少なくともこの町にはきっちゃんは存在していない。
もしかしたら戦争で…。

「みい子は幸せやったか?」

「うん。幸せな人やねってよう言われよったばい。結婚して…」

「結婚すっとね」

きっちゃんはちょっと寂しそうな目をして、
口元だけで小さく笑った。

きっちゃん、きっとばあちゃんのことが好きだったんだ。

だからばあちゃんの実家でもあるたばこ屋がどうなったのか、
かのちゃんが存命なのか、ばあちゃんの生死や″未来″が気になっていたんだ。