空に還る。

「なら、みい子は?生きとっと?」

「みい子?みい子って…」

フルネームを言おうとしたけれど、
敢えて私は″旧姓″を言った。

きっちゃんが知っているとすれば、
″結婚する前″だと思うから。

やっぱりきっちゃんはスッと頷いた。

みい子。
かのちゃんは七人きょうだいで、みい子は一番上の姉であり、私の祖母だ。

生きているのか、と訊かれたら
きっちゃんの時代の背景から繋ぐと″イエス″だろう。

ばあちゃんは戦争時代を生き抜いた。
そしてじいちゃんと幸せな結婚をした。

誰もが憧れるような結婚生活だった。
勤勉で穏やかでユーモアもあるじいちゃんに、
ばあちゃんは世界で一番愛されていた。
大切にされていた。
孫の目から見ても、もしも自分に結婚イベントなんてとんでもないことが発生したなら、
じいちゃんとばあちゃんみたいな結婚がしたい。

でも、

「生きてるかどうかで言ったら亡くなったばい。二年前に」