空に還る。

「理由なんかよかたい。こげんこと、現実に起こるとか思わんたい。でも起こってしまった。一瞬でも関わってしまったんなら最後まで巻き込まれてあげよっかなって」

「おかしか子やね」

「きっちゃんには言われたくない」

「…ありがとうな。あんず、聞いてもよかね？」

「うん。何？」

「たばこ屋の、その…かの子は生きとっちゃね？」

「うん。今日は病院に行っとる。やっぱその頃からの知り合いなん？かのちゃん、いろいろ紆余曲折あるけど、私が産まれてからはずっとたばこ屋におるばい。営業はとっくにしとらんけどね。何年か前に辞めたと。もうしんどいけん」

きっちゃんと関わりがあったのは、かのちゃんの年齢から言って、ほんの小さい頃だろうか。
ひょっとすると産まれたばっかりとかかもしれない。
でもこの町でなら、きっちゃんと繋がりがあった人はいっぱい居そうだ。
…会わせるわけにはいかないけれど。