空に還る。

「あんずちゃん、こんにちは」

「…あぁ、おばちゃん。こんにちは」

言い合っている私と少年。
その私の後ろから声をかけられて振り向いたら、
徒歩五分くらいのところにある酒屋のおばちゃんが立っていた。

この酒屋も親戚にあたる。
こんな小さな田舎町だ。
商売なんか始めちゃってそこにずっと住み続ければ
ほとんど親戚同士の塊が出来上がってしまう。

「かの子おる?ほら、酒ば頼まれとったったい」

「お盆のですか。かのちゃん、今日病院って言いよったばい。まだ帰っとらんみたい」

「あぁ、血圧のね。したらあんずちゃん預かっといてくれる?」

「うん。渡しとく」

「ありがとうね。重たかばい」

「平気」

おばちゃんは、「じゃあまた遊びにこんね」って穏やかに笑って、私達に背を向けた。
やっぱり少年のことは不思議そうに見ていた。

「酒って…」

「とりあえず、どっちにしてもちょっとうちに来て。これ置かんばけん」

おばちゃんから預かったお酒の一升瓶を、
私が一本、もう一本は少年が持ってくれた。

祖父の家の横の坂を三十メートルくらい登ったすぐ上が私の家。
ほとんど一人暮らしみたいなものだ。