空に還る。

「悪魔…?」

少年を真似て見上げてみても
そこには青い空と白い雲があるだけで
私達には、暑過ぎる太陽の光が燦々と降り注いでいるだけだった。

「光が…落ちてきたやろっ!?」

「光?落ちる?きみ、なん言いよるとさっきから。大丈夫ね?」

「母さんっ…父ちゃんは工場(こうば)か!?ここは…姉ちゃん、あんたここでなんしよっとね!?ここは…!」

「ちょっ…ちょっと落ち着かんねって!おかしかばい?いきなり現れてからおかしかことばっか言いよる。第一、その格好はなんね?さっきから言いよることの全然分からんっさね」

「姉ちゃんこそなんね!そげん服ば来てよっそわしか!肌ば隠さんね。大怪我したらどげんすっと!」

「なんっ…汚かってなんね!」

「あーもう!そげんことはよかと!なぁ…教えてくれ…ここはどこで、僕の家族はどこ行ったと?姉ちゃんは誰?」

「どこって…」

私はこの町の名前を口にした。
少年はまん丸の瞳をもっと丸くして、「そげんわけなか」って呟いた。

「ここに、こげん神社はなか」

「あるたい、現に。私が産まれるよりもとっくの昔からあったとばい?」

「じゃあ、たばこ屋は!?」

「たばこ屋?そんなら…」

スッと腕を伸ばして指さした方向を
少年は振り返って見た。

当然、私が産まれるずっとずっと昔からある、町で唯一のたばこ屋さん。

少年は「やっぱり…」って言って、
立ち上がって、走り出した。