空に還る。

八月十四日。

両親は出勤していて居ない。
すごく久しぶりに交わした「いってらっしゃい」が
なんだかむず痒かった。

正午。
リビングには私、きっちゃん、琴音、サコソウ。

きっちゃんと出逢ってからまだ五日しか経って居ないのに
この五日間でいろんなことがあった。

一人の人間が時空を超えてしまうという大事件。

琴音とサコソウが晴れて恋人同士になって、
そんな二人との友情を強く認識できたこと。

そして、まだ完全に信用できるわけじゃないけれど
両親との和解。

私にとって濃すぎる夏休みになった。

いろんなことが起こり過ぎたから
たった五日間なのにこのメンバーで居ることがすごく自然なことのように思える。

「あんず、話ってなん?きっちゃんのことやろうけど」

「琴音、いつもうちに来てもらって悪かね。ママさんにも謝っといてね」

「よかっさ。ママ、専業主婦やし出れるきっかけのあってうれしかって言いよっとばい?」

「そんならよかけど…。サコソウもありがとう」

「俺はきっちゃんに会えたらうれしかけんねぇ?」

きっちゃんは本当のきょうだいみたいにすっかりサコソウに懐いている。
きっちゃんのことを話せたのがこの二人で本当に良かったって思った。

きっちゃんとのお別れが寂しいのが、私だけじゃなくてよかった。
もしもきっちゃんがこのことを忘れてしまったとしても、
夏休みのたった五日間。あなたが愛された事実は、きっと心の大きな財産になるんだから。