空に還る。

小さい鳥居と、小さい境内。
その隣には書道教室や婦人会の集まりに使われている小さい集会場。

錆だらけの古いブランコ。
落ち葉を燃やす、これまた錆だらけで赤褐色のドラム缶。

神社を取り囲むコンクリートの塀のそばには、
石というか、岩というか…。

高さは八十センチも無いくらいで、
直径は一メートルくらい。

なんの為に置かれているのか分からないから子ども達はただベンチにしている石がドーンと存在しているだけの神社。

その石の場所が一番木陰になっていて
灼熱の太陽からなんとなく逃れることができるから
私はソレに座って、十一時二分の町内アナウンスを待った。

外に出る必要は全然無いんだけど、
登校をしなかったせめてもの免罪符だ。

十一時。
琴音から「サコソウとの結果報告、夜電話するから!それで許してあげる」ってメッセージが届いている。
私が何をしようと全て帳消しにしてくれるサコソウはまるで神様だ。

十一時一分。
キーンと、集会場の上に取り付けられた拡声器から
ハウるような音がし始めて、町内の自治会長の声が聴こえてきた。

戦争を決して忘れてはいけないこと、
平和への奇跡と祈り、そして被災者への黙祷を……
その合図と共に、十一時二分。
お仏壇の鐘に似ている音が鳴る。

そっと瞼を閉じる。

ぬるい風が吹いて、額に滲む汗をちょっとだけ冷やす。

木の葉が擦れる音。不思議と遠ざかる蝉の声。
黙祷の祈りと…………

「いったぁーいッ!!!」