世界はそれを愛と呼ぶ

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「─君は」

相馬達が部屋に籠って、1週間ほど。
陽向は唐突な来訪者に、目を瞬かせた。

「陽向様との御対面は、初めまして、ですかね。─皇仁知華(スメラギ ニチカ)と申します。相馬様の元で、御園特務捜査官をやらせていただいています」

ニコッ、と、笑った女性は華奢で、陽向の知る特務捜査官達と比べると、あまりにも雰囲気が柔らかい。

「あ、相馬様、というのは訂正すべきかもしれませんね」

彼女は少し間を置いて、ふと、付け足す。

「つまり?」

「書類上の雇用主は、御園相馬様ですが……私の身の上的にも、そこは複雑で。ここに千華様が帰ってこられていると伺って参った次第です」

「千華の知り合い?」

学生の頃から、ほぼ海外にいたあの子に?
凡そ、20代前半の女の子が─……。

「─仁知華!?」

後ろから声がした。
千華は早足で陽向の横に来ると、

「千華様!」

表情を明るくした仁知華さんを見て、

「どうして……」

と、動揺している。仁知華さんは、頭を下げて。

「お久しぶりです!お元気でしたか?」

「元気、だけど……え?仁知華、貴女、数年前」

「ご安心下さいっ、”代償”は払い終えてます!」

千華の言いたいことを先に理解し、微笑む仁知華さん。
その瞳の奥、測れない真意。

「…………兄さん、居間に通してもいいかしら?」

苦々しい顔で、震えた声。
いつも飄々としていた妹は最近、何故かどこか弱々しい雰囲気だったが……今はそれが顕著に出ていて、まるで、目の前の彼女に怯えているような。

「?、知り合いなんだろ?別に……特務捜査官なら、こちらに害はないし。何より、相馬の結界は優秀だ」

ここまで入ってこれている時点で、彼女の素性は大体知れている。相馬が許しているという事実がある。

「─ねぇ、仁知華?」

「何ですか?」

「どこにも異常とか……そもそも、どうやって」

彼女は少しきょとんとした顔をした後、

「─私も経験するまで知りませんでした。あんなことがなければ、知ることもなかったでしょうね」

目を細めて、少し、悲しそうな顔をして。

「私、総一郎に怒ればいいんでしょうか。謝ればいいんでしょうか。1発、殴りたいとは思っているんですけど……それは、私に許されるんでしょうか」

その儚げにも感じる表情に、千華は息を呑む。