☪︎
「─相馬、サッパリしたね」
長い髪を、バッサリと切った。
理由は、動くのに邪魔だと思ったからだ。
でも流石に全部切るのは、出来なかった。
何故なら、番がいれば安定する衝動を安定させるのに、髪はよく使えたからだ。
簡単に言えば、能力を髪に分散させる事で体内に能力を留めることを避け、衝動的になる期間を長めにすることが可能な生態を利用して、相馬は番がいない中でも多忙な日々を捌くため、髪をとにかく伸ばしていた。
沙耶という存在を手にした今、正直、髪を伸ばしておく必要性はそんなにないが、相馬は普通よりも強い能力を持っているし、毎月、彼女に衝動の調和を要求するのは、あまりにも負担が大きすぎる。
そう考えた相馬は、下の方の髪をひとつに括り、上の部分はバッサリと切り落とした。
短髪の中に、長い髪が生えているように。
下の方ならば、髪の毛も邪魔になることはない。
とりあえず、顔にかかる横髪などが邪魔だったのだから。
「変じゃないか?」
「うん。綺麗に整ってるよ。気になるなら、後で美容室にでも行けばいいよ」
「あんまりこだわりはないんだけどな……」
手でくしゃくしゃと髪の毛を整え、甲斐に視線を渡すと、甲斐は静かに目を伏せて。
「……本当に厄介なことをしてくれたものだよね、敵も」
「ほんとだよ。おかげで慧が国を滅ぼさないよう、気を付けなきゃならんよ」
相馬の深い溜息に、甲斐は微笑む。
「慧の怒りは、神の怒り。神々に愛された血筋。四季の統率者。被害は是非、最小限でお願いしたいね」
「……お前、本当にそう思ってるか?」
あまりのにこにこ笑顔に突っ込めば、「思ってるよ」と、軽い言葉が返ってきた。
「まぁいいや……とりあえず、沙耶も特に問題なく、伸び伸びとやっているみたいだし」
「伸び伸びというか、暴れ回ってるに近いんだって」
報告書を片手に楽しそうな甲斐。
「良いよ。無事なら好きにやらせておいて」
「沙耶、かなり賢いもんね。報告によると、既に御園家を掌握寸前だって」
「……偏屈じじい共、老害は?」
「沙耶に負けたらしいよ」
「マジで?」
「マジで。……あと、桜の木の話はしたよね」
「ん。夏鶴達のことも知ってる。沙耶は恐らく、深淵に行ってるんだろうよ」
甲斐以外には話したことがないが、相馬も幼い頃、あの桜の木に誘われたことがある。
そこであった”彼”は、泣きそうな顔をしていた。
「─相馬、サッパリしたね」
長い髪を、バッサリと切った。
理由は、動くのに邪魔だと思ったからだ。
でも流石に全部切るのは、出来なかった。
何故なら、番がいれば安定する衝動を安定させるのに、髪はよく使えたからだ。
簡単に言えば、能力を髪に分散させる事で体内に能力を留めることを避け、衝動的になる期間を長めにすることが可能な生態を利用して、相馬は番がいない中でも多忙な日々を捌くため、髪をとにかく伸ばしていた。
沙耶という存在を手にした今、正直、髪を伸ばしておく必要性はそんなにないが、相馬は普通よりも強い能力を持っているし、毎月、彼女に衝動の調和を要求するのは、あまりにも負担が大きすぎる。
そう考えた相馬は、下の方の髪をひとつに括り、上の部分はバッサリと切り落とした。
短髪の中に、長い髪が生えているように。
下の方ならば、髪の毛も邪魔になることはない。
とりあえず、顔にかかる横髪などが邪魔だったのだから。
「変じゃないか?」
「うん。綺麗に整ってるよ。気になるなら、後で美容室にでも行けばいいよ」
「あんまりこだわりはないんだけどな……」
手でくしゃくしゃと髪の毛を整え、甲斐に視線を渡すと、甲斐は静かに目を伏せて。
「……本当に厄介なことをしてくれたものだよね、敵も」
「ほんとだよ。おかげで慧が国を滅ぼさないよう、気を付けなきゃならんよ」
相馬の深い溜息に、甲斐は微笑む。
「慧の怒りは、神の怒り。神々に愛された血筋。四季の統率者。被害は是非、最小限でお願いしたいね」
「……お前、本当にそう思ってるか?」
あまりのにこにこ笑顔に突っ込めば、「思ってるよ」と、軽い言葉が返ってきた。
「まぁいいや……とりあえず、沙耶も特に問題なく、伸び伸びとやっているみたいだし」
「伸び伸びというか、暴れ回ってるに近いんだって」
報告書を片手に楽しそうな甲斐。
「良いよ。無事なら好きにやらせておいて」
「沙耶、かなり賢いもんね。報告によると、既に御園家を掌握寸前だって」
「……偏屈じじい共、老害は?」
「沙耶に負けたらしいよ」
「マジで?」
「マジで。……あと、桜の木の話はしたよね」
「ん。夏鶴達のことも知ってる。沙耶は恐らく、深淵に行ってるんだろうよ」
甲斐以外には話したことがないが、相馬も幼い頃、あの桜の木に誘われたことがある。
そこであった”彼”は、泣きそうな顔をしていた。


