January〜新しい二人になろう〜

「いいね。飲みたい」

椿と恋雪は甘酒を購入し、飲み始めた。甘酒はおいしい。しかし椿は気になることがあった。それは恋雪の視線である。何故かジッと椿を見てくるのだ。

「恋雪、どうしたの?そんなにジロジロ見られると恥ずかしいよ」

「いや、椿の振袖姿を見るのは今年で最後になるから。しっかり見ておこうと思って」

「ど、どういうこと?まさかあたしとこの場で別れる気?」

動揺して椿は甘酒の入った紙コップを落としそうになった。しかし恋雪は穏やかな顔をしている。別れ話をする雰囲気ではない。

「椿、振袖って着れる人に条件があるでしょ?知ってる?」

「条件……」

すぐに椿はハッとした。そして恋雪を見つめる。恋雪が何を伝えたいのかすぐにわかった。嬉しさで胸が高鳴り、身体中が熱くなっていく。しかしーーー。

「ちゃんと言葉にしてよ」

椿が口を尖らせると、恋雪は「そ、そうだよね」と顔を真っ赤にしながら言った。そして椿の耳元に口を近付けていく。

「僕と、家族になってください」