この恋は妄想じゃありません

「うっ…うわーん」



映画館が終わって私は肩を震わせ泣いていた。



だってめちゃくちゃ感動的だったんだもん。



小説で読んだ時はあんまりだったけどキャストの演技がとても上手で映画の中に入り込んだ気分になって泣かずにはいられなかった。



「はい」



瀬名くんがハンカチを差し出してくれた。



「ありがとう」



瀬名くんはどこに感動したの?という顔をしていたけど何も言わなかった。



「先輩はあーゆうのにキュンキュンするの?」


「うーん、そうなのかも」


「俺の方がキュンキュンさせてあげられるのに」



涙がおさまってきたら瀬名くんはまた意味のわからないことを言い出し始めた。



「っていうかそういえばさ!」



私は今日瀬名くんに言おうとしていたことがあった。



「瀬名くんって頭よかったんだね」


「あ、気づいちゃった?」



乃愛ちゃんに聞いたと伝えれば、瀬名くんは



「あいつ言いやがって」



と呟いていた。